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ENo.1468 アイギール の日記補完その他。
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街に戻ってきた人々の話をきくと、どうやら街の外には、敵対的な知的生命体がとても多いようだ。
それを聞いて、アイギールは、やはり自分は街に籠る必要がある、と再確認した。

アイギールは、他者に物理的な危害を加えることができない。
そう、それはまるで、ロボット三原則に従い造られたロボットのように。

危害を加えようかと思うことすらないわけではない。
しかし、アイギールの使役するどんな触手も、相手に傷を負わせる目的で行使することはできないのである。
女性の膜を貫くことですら、その前に充分に催淫液を染み込ませ、痛覚が無くなった状態で、
膜を溶かしてから、少しずつ奥へと挿入する必要がある。

そんなアイギールが、街を出て、敵性生物と出会ったらどうなるか。

無力化は長くは続かない。
まして、この世界のように、戦闘が相手を倒すことを前提としているような世界では。
結果、アイギールはただひたすらに攻撃され、蹂躙され、殲滅されるより他に道はない。
いくらすぐに復帰することができるとしても、一方的にいたぶられることも、
痛く辛い思いをするのも好みでは決してない。

ならば、それらに襲われないように、安全な場所のみで活動する、というのが、
最適な棲み分けといえるだろう。
幸いにも、同世界ならば、どこにいても街にいながらにして交流できるし、情報も手に入る。
アイギールが外に出る理由は、もはや皆無に近いのである。

そんな訳で、アイギールは街に留まりながら、自己の存在を保つため、
そして自らの好奇心を満たすために話しかけ、話し続けるのである。

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「あー……ひまヒマ暇ァ。
全く、こぉんな世界に閉じ込められるなんて、
僕はツイてないなぁ……ん?

……前言撤回。僕はツイてるね。
次元の穴からチラリと見えた、あの細くて脆い触手……
アイギールが、あっちにいるのか。
きひひっ……楽しみだなぁ、あの全知気取りが、
僕を知ったらどんな反応するか……
……まァ、まだまだ先のことだね。
それまでは、僕は魚釣りに徹することにするよ……

……さぁって、もう明け方か。
仕っ方ないなぁ……じゃ、お休みなさい」

――世界間通信・受信可能まで、あと五日。
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2日目には、多くの人々が街から離れ、それぞれの思惑の下、歩みを進めていった。
アイギールはそんな数多の登場人物――といってもその多くはヒトではないが――をみているうち、
この世界の感想を漏らした。

「大いに結構なことね」

アイギールがそういった理由の大部分は、観察対象であった彼らそのものにあった。
外見も、性格も、出身世界も多様性に満ちあふれていたからである。
新鮮な世界に、新鮮な知的生命体たち。
やはり、異世界はこうでなくては。

「これは……しばらくは飽きずにすみそうだわ」

満足げに微笑み、翼をひろげる。
と、翼から無数の触手が産まれでて、あちこちへと散っていった。

伝達用触手。

街にいながら、同世界の全てのモノと交流できるようにするための、非物理的なテレパス触手である。
多くの世界では、世界自身が抵抗し、ごく限られた地域にしか伸ばせないこの触手も、
この世界では、むしろそれを推奨しているかのような蔓延のさせ心地である。
これで、数多のモノと交流することができるだろう。

伝達用触手をひろげる途中、色々な集団の情報を受け取る。
何らかの意志を表明する者たち、特定のものを愛好する者たち、
喫茶店、酒場、宿屋、娯楽施設の数々……
恐らくは、それらに参加しているものは、幾分か返事が期待しやすいだろう。
特に、交流を求めるような集まりに参加している者たちは。
アイギールは、二日目の少ない情報で参加した集まりの他に、色々な集団の中に顔を出してみることにした。

どうやら集まりの中では、自身を誰かの物語に登場させたりする許可を付与するような、
そんな集まりもあるらしい。
それは、言葉のやりとりよりも、より濃密な関係性を築くことが出来るだろう。
それに、アイギールも、自身の物語になるべく他の人物を登場させたかった。
一石二鳥、願ったり叶ったりである。

「さて。後は、もう一仕事、ね」

そう呟くと、アイギールは街の空間のすみずみまで舐めるように見回す。
そして。
アイギールは、何の変哲もないように思えるところを、じっと見つめ。
口を開く。

「ここに、ひとつ」

口元をニヤリと歪め、指先からテレパス触手――ただし、先程はびこらせたものより随分細いもの――を、
なにもない空間へとおどらせる。
テレパス触手は、なにもないはずの空間から、小さな小さな穴を見つけ、どこかへと滑りこんでいく。

「ここも」

パリパリッ、にゅるん。

「見つけたわ」

ピリッ。しゅるん。

「……あった」

つぷっ。ずるん。

歪みを見つけ、そこに触手を突っ込み、穴をくぐらせる。
その作業を、ひたすらひたすら続けていく。
夢みるもう一つの世界の住民とも、交流ができるように。
少しずつ、触手を繋げていく。

「ふふふふふ……楽しみね。否定の世界、アンジニティ。
どんな異常者と話せるかしら」

触手で伝達の道を造りながら、洩れてくる断片情報を心の隅に留め、
早期に伝心できそうなモノを捜しておく。
少しでも早く話しかけられるように。
時には、おぞましい肉塊のような、心底寒気のする殺人鬼の気配を察しながら。

世界間通信ができ。
仮に、通信以外でも、セルフォリーフとアンジニティが繋がってしまったとしても、
アイギールには何の関係もないことだった。

いや、むしろ。

「躍動の世界に、負が訪れたら……この世界の住民は、
どんな情報を吐き出すのかしら?」

そうなったとしても、それもまた彼女の楽しみであった。


――世界間通信・受信可能まで、あと七日。
――――やってきたのは、唐突な電子の津波で。

ごぼ……ごぼごぼ……

<<あ、グゥっ……  死なない身体といっても……これだけ、情報が散っていっては……
 ……かはっ……喋れ、ない……話して、いたのに……届かない……
 駄目……目が……覚めて、しまう……
 まだ、眠っていたいのに……>>

ごぽっ

……

…………

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「……今の夢……心残りね。
 もう一度同じ夢をみたいわ。今度は、どんなモノと触れあえるかしら。
 ふふ……楽しみね。
 じゃあ、お休みなさい」

----

水に長いこと浸かっていた気がする。
ふと水面から顔を出してみたら、そこはまるで違う世界。

「あら、私は確か。
 偽りの島にいたのではなかったかしら?」

周りの生物に焦点を合わせ、情報を収集する。

「成程。つまり、今の私とここは、まるきり新しい世界なのね」

空を見上げる。

「あれは、歪み、かしら?
 どうなるかは分からないけれど。
 何かが、重なって……偽島ではないわね。
 もう一つの世界、のようね」

口元がわずかに歪み、微笑みをみせる。

「もう少し、静観を続けましょうか……」
といっても、ほとんどのPL発言は日記に突っ込む予定なので、
日記の補完+リアルタイムの必要があるもの+日記には長すぎるものをここに書く予定。

とりあえずは、第一回が更新されたら全人外キャラリスト作成に力を入れるつもりです。
引用自由。萌えは共有するものでもあると思うのです。

ということで、よろしくお願いいたします。
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